少女と過保護ーズ!![完]
「おっはよー。ハイネ」


「あっ、おはようございます!!凛さん」



朝食の片付けを済ませて、店内の掃除をしているとキッチンから凛さんが入ってきた。


背中まであるフワフワパーマの黒髪。

高くスラッとした鼻に切れ長の涼しげな目元、薄い唇の美人さん。

そしてスレンダーにしてボンッキュッボンッのナイスボディ。


羨ましいのですが!?


何を食べたらそんな風になれるんだ……。


あたしもなりたい!!


それで八雲さんを振り向かすんだ!!


自分を見た。

落ち込んだ……。




この人は伊藤凛さん。

歳は



「あ?」


「なんでもないでっす、ハイィッ」



現在妊娠3ヶ月の妊婦さん!!



"シャーウッド"のオーナーで、親戚と縁を切って頼れる人の居ないあたしを養子として引き取ってくれた人。


学校も行かせてくれると言ってくれたのだけれど、そこまで甘えるわけにはいかない。


引き取ってくれて、住む場所をくれて、働かせてもらえて、お給料まで頂いているのだ。


十分過ぎる程、色々してもらって感謝してもし足りない。



ここに連れてきてくれて……伊藤夫妻に会わせてくれたのは八雲さん。



「奴らは行った?」


「はい」


「すっかり定着したわね、朝ごはん」



フフッと凛さんが笑う。


ここに住まわせてもらえるようになって、最初は毎朝、八雲さんが様子を見に寄ってくれてて。


すると、いつの間にか竜希さん、桂、蓮くんに麻也も来てくれるように。



「もう朝ごはんはココで食べなさい。食べてココから学校に行きなさい」



との凛さんの一言で、皆で揃って朝ごはんが日課になった。




「蓮くんと麻也が手伝ってくれて、いーっぱい作るんですけど、すぐなくなるんですよ。争奪戦です」


「まだまだ育ち盛りねー」



凛さんは"黒豹"の初代総長の奥さん。


そして現"黒豹"の姉的存在。



毎日のことなので皆、朝ごはん代を出すって言うんだけど



"それはガソリン代にしな"



と言ってくれる肝っ玉お姉さんで。


皆、凛さんには頭が上がりません。




「あっそうだ。今朝変わったことなかった?」


「変わったこと?」



凛さんの突然の問いに首を傾げる。


変わったこと……。

変わったこと……。



んーーー?
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