少女と過保護ーズ!![完]
ワァァァァァァァア!!!!!!!!!!!!



見物人達の大喝采。


オイルにタイヤの擦れた匂い。



鼓膜を破るんではないかというほどの何百台というバイクのエンジン音。



速く!!

誰よりも速く!!



ただそれだけを考えてバイクを己の身体のように動かしていく楽しさ。


勝ったときの爽快さと、純粋な"速さ"に魅せられてから、バイクが俺の命になった。



でも…。




「八雲様ー!!」


「好きですー!!」


「カッコいいーッきゃー!!」



カン高い女の声。


その中に



『八雲さん』



"シャーウッド"に置いてきた、愛しい"あの子"の声を探す。


耳に心地好く、元気で愛情に満ちた声。


やっぱり連れてくればよかった……。



隣が、"あの子"を抱き上げるためのこの腕が、淋しくて仕方がない。



"あの子"の体温が感じられないだけで、ココはこんなにも寒い。



もうバイクだけじゃ、ダメなんだ。
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