少女と過保護ーズ!![完]
声は届かない。


蓮と桂もこことは違う場所で待機してる。



「だったらっっ!!どーすればっっ!!」


「俺が……」



"帰る"そう言おうとしたら、スマホが鳴った。



今まで、かけてた麻也のスマホではなく"俺"のが。



アンパン◯ンマーチ。



今の俺の心境からは、かけ離れた明るい曲。



これを聞かせると、きゃらきゃらとハイネが可愛く笑うもんだから。



それ以来、ずっとこの曲。


全ての音が遠退く。


聞こえてくるのは、俺の異常に早い心臓の音。




ドクドクドクドク!!



「やっくん!!」



麻也に激しく揺さぶられる。



「麻也…」



定まらなかった焦点が麻也に合う。


音が戻り、まだ鳴り続ける曲に、俺は急いで自分のスマホをとりだした。



着信 "花音さん"



"八雲さん!!"



その声が聞けることを祈り、出た。



「ハイ」


『八雲』



花音さんの第一声。


オネェではない、"男"の声。

低い低い現役を思い出させる声。



『すまねぇ……八雲』



それがどれだけのことを意味するか…。



『ハイネが…』
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