少女と過保護ーズ!![完]
「うぉおおおおっ!?」



海斗さんが竜希さんの背中をどついた。


よろめきながら、こっちに向かってくる竜希さん。



「行くのだっ。"黒豹"レッド!今こそ姫を取り戻すのだぁ!」



海斗さんが叫ぶ。



姫って誰!?




「ハイネ」



八雲さんが立ち上がると、あたしを後ろに下がらせて庇うように前に立つ。



「竜ちゃん」


「八雲」



睨みあう両者。


どうやって収集すんの……コレ?



「そうだ。俺はリーダーでレッドなんだよ!俺がやらねぇで誰がやるってんだ!」




誰でもいいと思いますよ。


てか、やらないでいいと思います。




「そーだ!そーだ!」


「それでこそリーダーにしてレッドだ!」




冷めたあたしとは裏腹に、蓮くんと桂はヤイヤイと囃し立てる。


二人はまだスマホの取り合いをしていた。


まず、囃し立てる前にその掴み合いを止めろ。



「姫ー!」



そして何故嬉しそうに手を振るの?海斗さん。


てか、姫じゃないしっ。


もー本当にどうするの!?



「八雲さん」


「んな顔すんな。お前は誰にもやらねぇよ」



ズッキュン!!

心臓が撃ち抜かれる。



「覚悟しろ!"黒豹"ブラック!」



ここで!?


まさかのここでブラック!!


仲間同士!?



グリーン!!

グリーンはどこ!?


八雲さん=ブラックは想像してなかった!




「へぇー。俺がブラック……ね」


「ギャーッ!!」


「怒ってらっしゃる!怒ってらっしゃるぞー!」


「うっせぇなお前ら。腹黒の八雲はブラックだって言ったのはお前ら」


「「だぁーーーーーーーーっ!!」」



ニヤニヤと囃し立ててた蓮くんと桂が必死の形相で、竜希さんの口を塞ぎにかかる。



「腹黒……ねぇ」



フフフ、と下を向いて笑いだす。



八雲さん。

空気がっ。

空気が重寒いっ。



一生心の内に秘めとくけど、八雲さんがブラックで納得してしまった。


内緒ね!!



ごめんなさい八雲さん。



「今がチャンスだ!!"黒豹"レッド!!」
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