少女と過保護ーズ!!
奴は全力でそれを俺にくらわしてきた。


しかも寸分違わず同じところに。



痛いどころじゃねぇ、悶絶もんだ。


真っ赤な額に3重の搭が出来た俺を、チビがそれは面白げに笑ってくれたもんだから、お返しにほっぺたを伸ばしてやった。


チビのほっぺたが赤いのは……気のせいだ。


気付くなよ?八雲。




「ハイネは?」


「俺の美声の子守唄で1発よ」




なんてったって"黒豹"のデーモン○暮って呼ばれてる俺だぜ?


チビを寝かしつけるぐらいわけな




「……デーモン小○じゃ寝れねぇだろ」


「あ?って、なんだそれ」




微妙な表情をしていた八雲がポケットから何かを取り出した。



「薬だ。さっき塗ってやろうとしたら邪魔されたからな、誰かさん達に」


「……誰だろうな?」




ツイ……っと視線を逸らしておく。


昼間に起きた出来事。


チビの首にできたミミズ腫れの擦り傷。


痛かっただろう、怖かっただろう……。


女に手を出すなんざ、性根の腐った野郎共だ。



「悪かったよ、邪魔して」


「いいよ。海斗さんには逆らえねぇしな」



蓮と桂は八雲をブラック……腹黒なんて言うが、俺から言わせてもらえば海斗さんの方がよっぽど……


ブルルッ!!


いやいや、今のナシ!!


危ねぇ、命の危機を感じたぞ!!




「にゃははは……んむむ……」




横向きにされ、首に薬を塗られてくすぐったいのか寝たまま声を上げて笑うチビ。


その後、ググッと顔のパーツを真ん中に寄せて渋い顔をする。



どうやら、滲みるらしい。



一回寝たら絶対に起きないのは、毎朝の日課でわかっている。



今も、どれだけ滲みようとも起きない。
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