少女と過保護ーズ!!
それにしても……




「オカンかっ!!」



塗り終わってチビを寝かし直し、あやすように腹の辺りを布団の上からポンポンと優しく叩く八雲にツッコむ。



「誰がだ」



いやいや、どう見てもそうにしか見えねぇよ。



オカンと幼稚園児。



そう言って俺は笑う。


チビに出逢って一番変わったのはコイツだ。



無表情に近かった表情が豊かになり、無気力かってくらい動かなかったのに、サクサク自分から動くようになった。


どれもチビに関しての事だけだが。



今もそれはもう蕩けそうなほど甘い微笑みでチビのほっぺたを撫でてる。



……バレてねぇよな?



あのマスカットみたいな奴が、変われば変わるもんだ。


ウンウンと1人で頷いていると



「マスカットじゃねぇ。それを言うならマリオネット、な」



!!



「「…………」」



!!!!



「おっ、お前っ。人の頭の中を読んでツッコんでくるなやっ」



どんだけ正確な読みなんだよっ。



「いやいや。"黒豹"の総長ともあろう者がマリオネットをマスカットなんて間違えれば、ツッコむしかないだろうが」


「いやいや。それは君の読み間違いだよ、八雲くん。俺は一言もマスカットなんて言ってない」



そう"言って"はいない。


考えただけ。



やれやれと俺は首を横に振る。


背中に嫌な汗を掻きながら。










マスカットって!!


よく考えれば果物じゃねぇか……!!


明日からは真面目に授業を受けよう……



ココに誓う。



が、八雲は誤魔化されてはくれなかった。


すんげぇ白けた目で俺を見てくる。



……おおぅ。


すんません。



< 58 / 449 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop