少女と過保護ーズ!![完]
しっかし八雲さん…良い匂いがする!


でへへへ…って違う!


今は麻也のストーカー発言をっ。



「うーーっ!」



麻也が女のコを威嚇してる。


威嚇してるんだけど、あたし達に躙り寄ってくるのも止めない。



「どうした?麻也、とりあえず落ち着け」



と言いたい。

言いたいんどけどっ。


無理ってか、ぐるじい……。


あたしはギブアップのため、テーブルをバンバンと叩いた。


八雲さんの細いわりに鍛えられた胸板に、最早抱きしめられているのではなく、顔を潰されている。


口と鼻が塞がれ息が出来ない!!



「ハイネ!?」


「のぁっ!?何やってんだよ、チビ助!!」


「あっちぃいいいいっ!!」



ああ、あたしのバカ。

なんで今日に限って、朝ご飯を味噌汁にしたんだ!!


きっとおもいっきりテーブルを叩いたことで、熱々の味噌汁が溢れたに違いない…。


そしてその溢れた味噌汁が哀れ蓮くんに掛かったに違いない…。



マジ、すんません……。



「ぷはっ!!」



両脇に手を差し込まれ、グイッと持ち上げられる。



「大丈夫か?」


「うん。ありがとう、八雲さん」



もちろん持ち上げてくれたのは八雲さんで。


八雲さんはそのまま立ち上がりあたしをお子様抱っこした。


何度か深呼吸して、ようやく周りが見える。



ご飯を死守している桂。


アチアチと必死に制服を拭いてる蓮くん。


まだ女のコを睨んで、ピッタリと八雲さんにくっついてる麻也。


そしていつの間にか片手におにぎりを掴みムシャムシャ食べてる竜希さん。


と、その竜希さんに未だにぶら下げられてる女のコまでもがその体勢のまま、何故かおにぎりを食べていた。



え?何これ?



「…ハァ」



すぐ近くで、デッカイ溜め息。


ソローッと八雲さんの表情を伺えば、もう面倒ってのがありありと出ていた。


アンニュイ……。

アンニュイだった。


アンニュイ八雲さん……。
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