少女と過保護ーズ!![完]
「はよーさん。チビネ」


「おはよー。蓮くん」




もう一人は炎のように赤い短髪。

目が合えば100%子供が泣く、ツリ上がった三白眼。


"黒豹"1の悪人顔だけど、一番気のきいて優しいお兄さん、青木蓮(あおき れん)くん。



「??麻也、何かあった?」



なんとも不機嫌な麻也。


あたしか……?

あたしが寝坊をしたからか?




「別に……」




ホッ。

違うらしい。



ハッ!?

まさか!?


いや、麻也なら……!!


こんなに可愛い麻也なら!!



「……生理?」




ゴチコォーーーーーーーン!!!!



それはそれはナイスな音がキッチンに響き渡った。



「~~っ。ぐぅぅぅぅぅぅぅっ」



般若っ。

般若がいた!!


般若に手加減一切なしの拳骨を頭にもらった!!



痛いっ痛いっ。

目から星がでたよっマジで!!



「あーあ。大丈夫か?チビネ」


「……いたい」


「だよなー」



そう頷くと蓮くんは大きな手で、プックリと出来始めたタンコブを撫でてくれる。



「麻也!!」


「何?」


「お前、本当にココ最近機嫌悪いな。だからってチビネにあたるんじゃねぇよ」


「あたってないし」



プイッと麻也があたしと蓮くんから顔を背ける。


ほっぺがプクッと少し膨らんでる。


可愛いな、オイ……。



あたしより大分可愛いな、オイ……。


自信喪失。


にしても本当にココ最近機嫌が悪い。


こんなに不機嫌な麻也は初めて見るかも。



むーん。


理由がわからなくて、あたしと蓮くんは顔を見合わせる。


と、突然蓮くんが閃いた!とばかりに人差し指をピーンと立てた。




……あ、なんだろう。

嫌な予感がするよ?




「麻也お前……」


「……」


「ゴクン……」



張り詰めた空気。


そして



「生理か!?」




ゴチコォーーーーーーーン!!!!


二度目のナイスな音がキッチンに響き渡ったのだった。



蓮くん……。


それ、さっきあたしが言ったよね……。


聞いてなかったのか?


そして男の蓮くんが言ったら……セクハラだぞ?



あたしは麻也の拳骨で、痛み悶えてる蓮くんの頭を撫でつつ、ジト目で睨んだ。
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