少女と過保護ーズ!![完]
「近寄るな」



それに対してビビったあたしを、抱っこしたままの八雲さんが田村さんから遠ざけてくれる。



「えっと……」



申し訳ないけど意味は知ってても読んだことはないあたしにはBLの良さはわからない。


男同士の友情は“黒豹”の皆を見ていて良いなと思うけど。



キラキラ輝いている(眼鏡で見えないけど)であろう田村さんに伝えようと口を開くも



「俺のことを知らない奴が勝手に俺のことを語るんじゃねぇよ!!」



「僕はっ」



「俺は絶対にモデルなんかしない」




麻也の強い光を宿した大きな瞳が田村さんを射る。




「悪いが、俺も出来ねぇな」



「そこっ……そこをなんとか……!!こんなに頼んで……」






























『アンタ』



「……え?」




麻也と蓮くんに近付こうとした田村さんが、たった一言で硬直する。




「……っ!?」




あたしも全身に鳥肌が立ち、おもわずギュッと八雲さんの首にしがみつく。



竜希さんだった。


あたしの前では滅多になることのない、“黒豹”の総長としての吉良竜希がそこには居た。
< 96 / 461 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop