少女と過保護ーズ!![完]
そんなあたしの背中を八雲さんが優しく撫でてくれる。



「可愛い妹を怖がらせたい訳でも、泣かせたい訳でもねぇんだが」



あたしの顔を見て、いつもの顔で竜希さんが笑ってくれる。


あの氷のように冷たい瞳はもうしていない。



だからあたしも笑う。



まだ強張ったままの顔では、引き攣った笑顔にしかならなかったけど……。


あたしの気持ちをわかってくれた。


だからこうして折れてくれた。



ありがとうの気持ちを込めて笑う。




「ここ最近、麻也が寝れなくてクマを作ってること」



「……」



また、田村さんに視線をやり話し出す竜希さん。



その声はさっきまでと違って穏やかだ。



「イライラしていること、笑わなくなったこと」




……うん。


そんな麻也を“黒豹”の皆はずっと心配していた。




「気づいていたか?漫画家」




漫画家ではないけれど。


竜希さんにはそんなことどうでもいいみたい。



田村さんは話さない。



ではなく……話せない、か。
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