追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
 ローエンは尻尾を掴んだといいたげに醜く頬を吊り上げる。

「やはり報告は真実だったようだな! 魔獣肉を使ったおぞましい料理で隊を混乱に陥れていたとは……やはり貴様は正真正銘、魔女だ!」

「……っ!」 

 プリシラは怒りを通り越して呆れてしまった。

 これほど理解力が乏しい人間に出会ったのは初めてだ。

 ローエンの父親は香草を使った「グルートビール」で財を成した大商人だと聞いた。彼は父親の後を継いでグルートビールの取引をやっているらしいのだが、やはり親の七光りで地位を得た人間は無能ばかりなのだろうか。

「というか、あたしを追放してどうやって魔王がいる北方領域に行くつもりなのよ!? あたしがいなくなったら負傷した傭兵を治療することができなくなって、すぐに全滅しちゃうわよ!?」

「フン! 余計なお世話だ! 貴様などいなくとも使命感と熱い思いを持って魔王討伐に挑んでいる我々だけで容易く任務は完遂できる!」

「……来たきた! 出たわね、使命感!」

 鬼の首を取ったかのように嬉しそうに頬を釣り上げるプリシラ。

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