追放されたチート魔導師ですが、気ままに生きるのでほっといてください
 魔獣を意のままに操る魔女を縛り首にすれば、呪いが返ってくる──というのは、子供でも知っている古くからの言い伝えだった。「決死の覚悟を持って挑む」という意味で「魔女を縛り首にする覚悟で」という言葉が使われるほど、魔女と魔女の呪については一般常識なのだ。

「お前の喧嘩に巻き込まれて魔女の呪いで殺されるなんて御免だぜ」 

「し、しかし、このまま放置しておくわけには」 

「わかってる。だから追放ってのは、いい落とし所だと思うぜ」

 ナルバリッチがプリシラににじり寄る。

「縛り首にはできねえが置いたままにもできねえ。だから隊を去ってもらうぞマロンドウィッチ。魔王討伐隊に魔女がいるなんて、笑い話にもならねえしな」

「だ・か・ら! あたしは魔女じゃないって……ああ、もうめんどくさいわね!」

 本当にこいつらは何なのだ、とプリシラは胸中で吐き捨てた。

 プリシラには治療師としての自負があった。

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