幼なじみにつきまとわれています
「拓海……?」
「いや、まさか乃々ちゃんが俺の分まで買ってくれていたとは思わなくて……こういうの久しぶりだから」
「さっきカーディガン貸してくれた、お礼に。たっ、拓海がいらないのなら、これもわたしが食べるけど?」
「ううん、食べる。乃々ちゃんの気持ち、有り難くちょうだいするよ。ありがと」
拓海が、ものすごく嬉しそうな顔して笑うから。
心臓が跳ねてしまった。
喜んでくれてるみたいで、良かった。
「甘くて美味しいね、アイス」
「うん」
「優しい乃々ちゃんが、俺のために買ってくれたからだね。すっごく美味しい」
だからそういうこと、さらっと言わないで。
「また一緒に食べようね」
「うん」
胸のあたりが甘くうずいて、少し息苦しい。
「乃々ちゃんどうしたの?」
「何でもない。テスト前だから、早く帰って勉強しなくちゃ」
照れくささを隠すようにわたしは、早足で歩き出した。