幼なじみにつきまとわれています
「ああ、こんな不意打ちで。しかも上目遣いで……久々の" たっくん " 呼びは、心臓撃ち抜かれた。乃々ちゃん、俺を殺す気?」
「はい? そんなつもりないけど」
「そっか、うん。わかった。
俺も行くよ、乃々ちゃん」
だけど、彼はいつものようにすぐに笑顔になった。
拓海は、女子高生に声をかけたあと、わたしのあとに続いて、瑠花ちゃんの元へと行く。
「ねぇ、乃々ちゃんが俺のこと『たっくん』って呼んでくれたの、いつぶり?」
「さぁ? 昔のこと過ぎて覚えてない」
「なぁ、もう1回呼んで?」
「ぜっったい呼ばない!」
「ほんと乃々ちゃん、照れ屋さんだね」
今こうして拓海と話していると、さっきまでの胸のザワつきも、不思議とスっと消えた。
やっぱり、わたしは拓海のこと……。