幼なじみにつきまとわれています
トイレから外に出ると、拓海は女の子に囲まれていた。
ほんと、高校生になってからの拓海は一気に大人びて。身長もグングン伸びて。
更にかっこよくなったよね。
「あっ! 乃々ちゃん」
わたしに気づいて手を振る拓海に、わたしも振り返す。
「乃々ちゃん、少し遅かったね」
わたしが歩きだすと、拓海が少し後ろからついてくる。
「顔を洗ってたから」
「そっか。あまり遅いと、倒れてるのかと心配になっちゃうから」
「え!? そんな大袈裟な」
「ううん。もし乃々ちゃんに何かあったら……。乃々がいなくなったら俺、生きていけなくなるから」
「はい!? 生きていけなくなるってそれ、冗談?」
「ううん、もちろん本気。俺、こうして近くでずーっと、乃々を見ていたい」
わたしを見つめる真剣な瞳。
「俺は、乃々を見ているだけで幸せ」
普段わたしのことを『乃々ちゃん』と呼ぶ拓海が、『乃々』って呼び捨てで言うときは、特に本気モードのとき。
「あ、ありがとう」
何と返していいのか分からなくて、わたしはお礼を言うので精一杯だった。