幼なじみにつきまとわれています


「だーかーらー! 拓海、ついてこないでよ!」

「今は、ついて行くも何も。俺ら、家の方向が一緒なんだから。仕方ないだろ」


この日の授業が終わって、放課後。


家が隣同士で、クラスも同じ。


そしてお互い帰宅部のわたしたちは、いつも一緒に帰る。

いや、正しくは拓海がわたしの後ろをついてくるからだけど。


「ほら乃々ちゃん、危ないから」

基本はいつも、わたしの少し後ろを歩く拓海だけど。


車の通りが多い道を歩くときは、当然のようにわたしの隣にやって来て、拓海が車道側を歩いてくれる。


隣……距離が近い。

あと少しで、肩触れそう。


「空、曇ってんねー」

「うん」

「もうすぐ雨降りそう。傘ないから、早く帰らないとね」

「そうだね」


今にも泣き出しそうな空模様だ。


「乃々ちゃん、なんか口数少なくない?」

「そっ、そう? いつも通りだけど」


普段はわたしの少し後ろを歩く拓海が、わたしの隣にいるとちょっとドキドキするから。


「もししんどかったりしたら、無理せず俺に言ってよ?」

「うん」


拓海は、なんだかんだ優しい。


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