手錠、そしてキスの雨を
そう言われ、伏黒さんと目が合った刹那に私の唇に温かい感触が触れる。目の前に広がる伏黒さんの顔と感触に、数秒かけてキスをされているんだとわかった。

「ッ!〜〜!」

恥ずかしくて死にそう。何で少女漫画では毎回キスシーンが登場するんだ?そう疑問に感じるほど、触れた唇が熱くて声にならない声が出る。

「その顔、もしかしてファースト?男性経験その歳でないんだ?」

馬鹿にしたように伏黒さんが言い、「うるさい!」と言おうとした刹那にもう一度唇を塞がれる。私が余計なことを言う瞬間を与えないよう、今度は何度も長くキスをされて、体の力が抜けてしまった。

「おっと、腰抜けたか……」

その場に崩れ落ちそうな体を、しっかり伏黒さんが抱き止めてくれる。私は酸欠でボウッとする頭で訊ねた。

「何で私、手錠をかけられなきゃいけないの?悪いことをした覚えはないんだけど?ていうか、普通に考えてこれって犯罪でしょ?」

「まあ、確かにそうだな。俺がお前にしてることは完全な誘拐と監禁。捕まれば数年は檻の中。でも、俺の仕事って令状が在れば人の自由を奪えるんだよね。今みたいに」
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