手錠、そしてキスの雨を
「は?」

わけがわからなくて、伏黒さんを見上げる。令状?人の自由を奪える?私みたいに手錠をかけるってこと?それってーーー。

「あんたの職業って警察!?」

「やっとわかったか」

警察ならこれが犯罪ってわかるでしょ、と言う前にまた唇が塞がれる。しかも今度は体のラインを指でなぞられてくすぐったい。

「そんな顔して、めちゃくちゃにされてえのか?」

ニヤニヤしながら見られ、私は「うるさい!」と顔を逸らす。もうやだよ……。

「あの、今日も私仕事なんですけど!さっさと手錠外して解放して!」

「逮捕中だから無理だな」

仕事のことを言っても、わけのわからないことを返される。何だ、逮捕中って。私、逮捕されるような犯罪なんてしてないんだけど。

「まあ、とりあえず元気なんだな。睡眠薬を昨日盛って眠らせたんだが、副作用がなくて安心した」

「いつの間に……」

急に昨日眠くなったのは睡眠薬のせいか……。本当、いつの間に飲まされたんだろ。人がたくさんいる中でよくできたな。
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