手錠、そしてキスの雨を

「私、数合わせで来ただけなんで。恋愛とか結婚とか興味ないし、死んでもお断り！仕事が恋人なの。邪魔しないでくれる？明日の予定確認したいから」

そう言って予定を見ようとすると、横から伸びた手にスマホをあっさりと奪われてしまう。

「返して！」

そう言い、スマホを取ろうとするが伏黒さんは「こういう場所なんだから、スマホ見るのはやめろ」と言い私のスマホを自分のスーツの内ポケットに入れてしまった。信じらんない、何この人！

イライラが募り、大声で怒鳴りたくなる。すると空になっていた私のグラスに、伏黒さんはワインを入れてくれた。

「ほら、ちょっと飲みながら話すぞ」

伏黒さんはそう言って、私の仕事のことなどを質問する。私はボソボソとそれに答え、気が付けば伏黒さんとかなりの時間を話していた。

「映画、ダチと見に行った時にな、あいつ途中で寝やがっていいシーンでいびきをかきやがるもんだから殺意が芽生えたんだよ」

「わかる！いいところで邪魔されると腹立つ！」