手錠、そしてキスの雨を
男性と話で盛り上がったことなんて初めてだ。職場の人とは業務に関係すること以外、話したことがなかったから……。

フッと突然体の力が抜け、伏黒さんにもたれかかってしまう。酔いが回ったのかな?すごく眠い。

「こいつ、できあがったみたいだし連れて帰るわ」

伏黒さんのそんな声を聞きながら、私は意識を手放した。



目を覚ました時、目の前には見覚えのない寝室が広がっていた。私は普段、敷布団で寝ている。でも、今寝かされているのは柔らかいベッドだ。

「私、昨日合コンに行って……途中で寝ちゃって……」

あれ?私、今誰の家にいるの?そう思いながら体を起こそうとすると、手が後ろで動かないことに気付く。

「は?」

手を動かそうとすると、ガチャガチャと音がするだけで全く手は動かない。手錠で拘束されている、それだけはわかった。

「えっ?何で?どういうこと?」

足は縛られていないため、この寝室を歩くことはできる。でも手が使えないから、ドアの前に来てもどうすることもできない。困っていると、ドアがガチャリと開いた。
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