聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。


 ***

「メル様? 大丈夫ですか?」

「……え、あっ! リー様!?」

「ごきげんよう」


 爽やかに笑顔を見せたリー様は、今日も美しい。本当、目の保養だわ……はぁ。


「どうかされまして? もしかして、副団長のことかしら……?」

「あっ、いや……違くて、いや違うくないんですがっ」

「……ん? その様子だとうまく行ったみたいですね。よかったわ〜ふふ、そうだわ、エルサ。あれを」


 リー様は、後ろにいた侍女に声をかけると、手紙をテーブルの上に置いた。


「今度、私の婚約パーティーがあるの。メル様にも来ていただきたいわ」

「私も参加してよろしいのですか?」

「ええ! もちろんですわ……ただ、お客様には男性もいらっしゃるの。大丈夫かしら」


 リー様は申し訳なさそうにそう零した。


「……大丈夫です、きっと。それにお友だちの婚約パーティーですもの、行きたいです」

「嬉しいわ! パーティーの前に婚約者(ウィリアム様)を紹介いたしますね」


 いつもは凛としているリー様も婚約者様の話をするときは頬を赤らめさせて恋する乙女に見える。


「楽しみにしていますね」




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