聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。



 ――それから数日後のこと。


「紹介いたしますわ、メル。こちらがウィルです」

「お初にお目にかかります、エミベザ国聖女様。エレットロニカ王国王太子・ウィリアムと申します」


 この人がリー様の婚約者様か……美形だ。



「っ私は、メル・フタバ・セダールントと申します」


 私は、膝を折りドレスを摘む。


「この度は婚約おめでとうございます」

「ありがとうございます……失礼ですが、聖女様は“旅の人”ですか?」


 旅の、人……?



< 102 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop