聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。
――それから数日後のこと。
「紹介いたしますわ、メル。こちらがウィルです」
「お初にお目にかかります、エミベザ国聖女様。エレットロニカ王国王太子・ウィリアムと申します」
この人がリー様の婚約者様か……美形だ。
「っ私は、メル・フタバ・セダールントと申します」
私は、膝を折りドレスを摘む。
「この度は婚約おめでとうございます」
「ありがとうございます……失礼ですが、聖女様は“旅の人”ですか?」
旅の、人……?