聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。
久しぶりのおコメ
それから数日が経ち、私のところにウィリアム様と一人見覚えがないフードを被った男性がやってきた。
「メル様、すみません。急に来てしまい……」
「いえ。大丈夫ですよ……ウィリアム様、今日国へお帰りなんですよね?」
「はい、そうなんですが……折り入って相談が」
相談……?
「私でできることなら」
「ありがとうございます。その前に紹介させていただきます。こちら、我が国の商人であるニコラ・サチコ・スズキだ」
この人がもしかしてこの前言っていた人?
「初めまして、ニコラです。私の祖先はスズキサチコという名前で、ミドルネームとラストネームには彼女の名になっています」
ニコラさんはフードを取ると、私と同じ黒髪に目は黒に近い紺色をした日本人に近い顔をしていた。
「私はメル・フタバ・セダールントです」
「メル様、今日はお願いがあって参りました。これに見覚えはありますか?」