聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。
「エミリーさん! この果物、分けて貰えませんか?」
「……え? 果物?」
「はい。あ、綺麗な瓶とお砂糖も欲しいんですけど」
「厨房に行けばたくさんあると思うわよ?」
欲しい!
「少し分けてもらえますかね……」
「えぇ、きっとね。一緒に行きましょうか」
エミリーさんと屋敷の厨房に行くと、コック帽をかぶっている料理人さんが数人作業をしていた。
「アルベルトさん、果物あるかしら」
「ちょうどパルムの実が届きました」
木箱いっぱいに日本でいう葡萄がたくさん入っていて、これなら作れるかもしれない。
これが葡萄と同じものなら、出来るはずだ。