聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。
もちもちベーグル
「おはようございます、今日からよろしくお願いします」
あれから一週間経ち、私は念願だった厨房で働かせて貰えるようになった。
「あぁ、よろしくな。メル嬢」
ただ条件がついたんだけど――。
『厨房で働くのはいいんだけどね、俺たちの養女にならないかな』
『養女? オスマンさんの、娘になるってことですか?』
『そう。今、メルちゃんは微妙な立場なんだよ。異界人であり聖女である、庶民のようで庶民じゃない。公爵家にいるからね』
「改めて、メル・フタバ・セダールントです。皆さまよろしくお願いいたします」
「メル嬢、まずは皿洗いと下ごしらえからな」
「はい」
私は、セダールント公爵家の養女になったけど厨房では見習いから始めることにした。料理長からはパン担当でいいと言われたけど、それはオスマンさんからの条件のひとつでもあったから。