聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。
「ディーン、教えてやれ」
「は、はい……! メル様、よろしくお願いいたします!」
ディーンという青年は先日王都学園を卒業したばかりで銀色の髪をマッシュヘアの可愛らしい子だ。
「こちらこそよろしくお願いします!」
「えっと、それじゃあじゃがいもの皮むきからやろうか」
じゃがいもなら得意だ、昔カレーにハマってたときがあったんだよね。
「じゃあ……ってできるね、だよね」
「はい、よくやってたので」
なんか申し訳ない、と思っていると私の前にボンっと置かれた。
「メルにはこれだ、剥き方も綺麗だし今日はじゃがいも係な」
「わかりました」
じゃがいもを無心で皮を剥いていき、あっちの世界でいう乱切りをした。それを調理部門に持って行ったりしてなんだか学生時代していた飲食店のバイトのようで楽しかった。
「メルちゃん、ご飯食べよう」
「うん」
それからお昼ご飯を食べると、私は自分の部屋に戻った。