聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。
***
「メルちゃん、あれが王宮騎士団の寮であれが騎士団の詰所よ」
「大きいんですね……あそこにギルバート様がいらっしゃるのですか?」
「ギルがいるのは、第一王宮騎士団だから一番右の建物よ」
王宮に着くと、エミリーさんと騎士団の建物の前にやってきた。そこの門番している人に挨拶をすると、顔パスかのように案内されて一つの扉の前に到着した。そこには【副団長室】と書かれている。
「副団長、お客様をお連れしました」
そう案内してくれた方が言うと「はい」と返事が聞こえたので、エミリーさんと入る。
「……母さん、どうかしましたか。こんなとこまで」
「あら、折角メルちゃん連れて来たのにそんな言い方ないでしょう?」
「……は、メル?」
エミリーさんの後ろに隠れていた私は、ひょこっと顔を出した。