聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。
「こ、こんにちはギルバート様」
制服をしっかりと着用して、椅子に座り書類を見ていた彼は私に顔を見せた。
「メル、どうしたんだい……こんなとこまで」
「エミリーさんがオスマンさんに会いに行くからってついて来ました。迷惑でしたか……?」
よく考えたら、ギルバート様はお仕事中だ。エミリーさんに言われるまま、もう少し後にこれば良かったのかもしれない。
だけどギルバート様に会えたのは少し嬉しい。
「いや、そんなことない。嬉しいよ」
良かった……。
「メルちゃん、ギル。私はオスマン様に会いに行ってくるわ」
「えっ、エミリーさん! 私は……」
「ギルと仲良くお茶でもして来なさい。じゃ、ギル頼んだわよ〜」
エミリーさんは「ふふふっ」と笑いながら部屋から出て行ってしまった。