聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。
「メル、座ってくれ」
「は、はい。失礼します」
「そのドレス、着てくれたんだな。似合っている」
私が座ると向かい側にギルバート様は座る。
「ありがとうございます……あっ、パン持って来たんです。クロワッサンと言って――」
私の言葉を遮るように扉が開いた。
「失礼します、お茶をお持ちしました」
「あぁ」
この人はスーツみたいな服だなぁ……なんか階級とかなのかな。そんなふうに考えていれば、私の前にもティーカップが置かれた。
「ありがとうございます」
「いえっ! では失礼いたしました」
おどおどしながらも彼は外に行ってしまった。