聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ! 私っ」
「まず私の屋敷に行こう」
「えええ!?」
オスマンさんと言った人は私を横抱きのまま馬車に乗せられた。というか馬車って……初めて乗ったよ。
「屋敷までは1時間ほどだ、喉乾いていないかい?」
「は、はい。少し」
「そうか、ではこれを」
木でできたコップを渡され、中に入っている飲み物を見つめる。
これ、本当に飲んでもいい奴かな……。
「そんなに睨めっこしなくてもただの水だよ。毒なんて入れていないし」
「じゃあ、いただきます……」
コップに口をつけて一口飲む。ぬるいけど普通の水だ。安心かな……。