聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。
「そんなことを気にする必要はない。実は昼ごはんがまだだったんだ。メルが持ってきてくれて助かったから送るくらいなんとでもない」
「そうですか?」
「ああ……それに君は可愛いから男が寄ってきそうで心配だ」
そんな心配はないと思うんだけど、ギルバード様は心配性だなあ。
「ギルバード様はお兄ちゃんみたいです。私は妹みたいな存在だからかもしれないですけど」
「そんなことは思っていない。早く行こう、母さんが心配する」
「……? そうですね、行きましょう」
結局私は、ギルバード様に送られて馬車までたどり着くことができた。
「気をつけてな」
「はい、ギルバード様もお仕事頑張ってください」
そう言ってギルバード様と別れると、エミリーさんと合流して王宮から出た。