聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。
バスケットの中には白パンやロールパン、ベーグル、クロワッサンが入っていて……美味しそう。
「……食べてもいいですか?」
「あぁ、もちろんだ」
私は白パンを手に取ると、一口サイズにちぎり口に入れた。
「……いただきます」
口に入れると、ふわふわでほんのり甘くて……
「美味しいです、とても」
「本当かっ!?」
「はい。ギルバート様も一緒に食べましょう? そうだ、ノア様にも謝らないと、良かったら一緒に……」
ノア様には、助けてもらったくせに一度も会っていない。連れ去られた時、ノア様に化けていたこともあり配慮されたらしい。