聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。



 ***

「聖女様、お会いできて光栄ですわ。アイリーン・エリザベス・エミベザと申します」

「いえっ、こ、こちらこそ……お初にお目にかかります、アイリーン様。私、メル・フタバ・セダールントです」


 あれから数日後のこと。ノア様の紹介でノア様の妹君である第一王女のアイリーン様がやってきた。


「今回の件、聞きましたわ。お父様とノアお兄様のせい(・・)で本当に取り返しのつかないことを……」

「いえっ、もう大丈夫です! ノア様には謝罪されてしまいましたし、本当に気にしてませんので」


 本当はまだ大丈夫じゃないけど。


「メル嬢が許されても私は許せませんわ!」


 ええ……!?


「安心してくださいませ、もうお二人にはコテンパンに致しましたので」

「こ、コテンパン……」

「はい、先ほどお父様にはビンタと回し蹴りを」

「え……」

「ノアお兄様には、来る途中にビンタと回し蹴りに一発かましてきました」 


 陛下と国の王子にそんなことをできる王女様って……そういえば、アイリーン様は唯一の王女だって聞いたな。寵姫だからできるのかもしれない。



< 86 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop