聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。
「ギルバード様!?」
「俺の恋人になってはくれないだろうか」
「こい、びと……私が?」
「ああ。君以外考えられない」
いつも以上にキラキラしている彼に眩しさを感じる。
「縁談が来ていると聞きましたが……」
「縁談?」
「はい、噂でギルバード様に縁談が来ていて相手がぞっこんで……詰所にやってくると聞いてしまって」
「縁談が来ているのは本当だ。だが、全て断っている。それにその詰所にくるご令嬢は部下の妹だ」
そうなんだ……よかった。
「改めて言う、メル嬢。俺の恋人になってくれ」
そう言ったギルバード様に私は「はい」と答えた。
「本当か!?」
「はい。私もギルバード様のことお慕いしています」
そう彼の目を見て言うと、ギルバード様は立ち上がり私を抱き上げた。
そういえば、リー様がいたわよね……と横を見るともういなかった。だけど、なんだか恥ずかしくて顔が熱かった。