聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったので、異世界でふわふわパンを焼こうと思います。
「ふふっ、メル様。先程作った焼き菓子を食べていただいたらどうでしょうか」
「あっ、うん。そうだね! ギルバード様、ちょっと座って待っていてください」
私は彼から逃げるようにキッチンに行くと、冷めているシフォンケーキを切って三つの皿に乗せてからマーマレードを乗せた。
「お待たせしました! これがシフォンケーキですっ」
ギルバード様が座っているテーブルにトレーに乗せて運ぶ。すると、早速彼が口に入れて口をモグモグさせている。
「普通のケーキみたいだが……すごくふわふわしていて美味い」
「本当ですか?」
「ああ、とても美味い。メルの作るものは全て美味いよ。そうだ……今日も可愛いな、メル」
「へっ!?」
ギルバード様は照れもせずに不意打ちでそんなことを言った。ド直球にそんなこと言わないで……。