夢よりも儚き星空を
「あー!こんなとこでのんびりしてらんないよ!美莉乗って!」


奈莉は慌てたように車のドアを開けて、手を差し出してくれた。



ほんとこういうとこは尊敬できるくらい紳士だよね。



車に乗り込むと、やっぱり運転手は私の予想通りだった。



「泉さん。久しぶり」



「お久しぶりです。お嬢様」



泉さんの声を聞くだけで、緊張が解ける…
なんだか落ち着くんだよね…



「美莉、お母様とお父様には…。やっぱり会えない?」



「ごめんね。無理だよ。一人前になるまで日本に帰らない宣言したのに帰ってきちゃったから合わせる顔がないよ。」



本当はお母様にもお父様にも会いたいけど、やっぱり2人は私の顔なんて見たくないんじゃないかな…



みんなは日本に帰ることを勧めてくれたけど、私は逃げてきたような気がしてる。



なんでこうなっちゃったんだろう…



文化の違いなのかな…



「美莉…」



奈莉の悲しそうな顔を見るとほんとに申し訳なくなってくる…
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