恋に異例はつきもので
 水平線に夕日が沈んでいく。
 彼に肩を抱かれたまま、しばらくふたりで芸術作品のような移り変わる自然の色彩の美を眺めていた。

 そしてその夜……

 わたしたちは、はじめて、大きな窓のあるベッドルームで愛しあった。

「ようやく俺のものになったな……花梨」
 彰吾さんがかすれ声で囁く。

 彼の愛情に包まれ、わたしの心も身体も満たされていく。

 そして、その愛があふれ出るように、わたしの言葉が唇からこぼれる。
「彰吾さん……大好き……」

 わたしの髪を優しく撫でながら、彼はまた、蕩けてしまいそうなキスをくれた……
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