恋に異例はつきもので
 階段を上がるとすぐ、「ブランディング戦略部」と掲示があるドアが見え、中に入ると陽光あふれる明るい空間が広がっていた。

「おう、連れてきたぞ」

 部長の言葉に、奥のほうのデスクの人が立ちあがった。

 逆光で顔がよく見えない。
 この人も鬼沢の子分みたいだったらどうしよう。

「米川、こいつが辻本だ。おい、ぼーっとしてないで挨拶」
 部長はそう言いながら、デスクに大きな音を立ててファイルの袋を置いた。
 
 そこがわたしの席らしい。
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