恋に異例はつきもので
「ふーん、なかなか根性のありそうな子だね。部長が目をつけるはずだ」
 30歳代前半に見えるその男性は、感心した声を出した。

「米川貴司です。よろしく」
 そう言って、彼はすっと手を差し出した。
 その仕草がとても自然で、わたしもためらうことなく手を伸ばした。

 米川さんは細身で知的な印象の眼鏡男子。ハラハラ親父とは雲泥の差。
 良かった。話しやすそうな人で。

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