恋に異例はつきもので
 そのことに強い違和感を覚えながら、わたしも反論しなかった。
 就職活動に疲れはて、彼がそう言ってくれるなら結婚もありかも、という打算もあったから。

 迷っているわたしを置き去りにして、彼はどんどん結婚の準備を進めた。
 そして……
 ご両親にも紹介され、いよいよ翌月に結納を取り交わそうとなったとき。
 諦めていた今の会社から、予定者が辞退したので内定を出すとの知らせが届き……

 さんざん悩んだ末、最終的にわたしが選んだのは、宗一郎さんではなく就職だった。
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