恋に異例はつきもので
「気合十分だな」
「ぶ、部長」

 大笑いながら入ってきたのは、部長。
 
 この人、唐突に現れるんだよね、いつも。それに、そんなに愉快そうに笑わなくても……

「香川が言ってた通りだな、辻本は」
「沙織先輩が?」
「ああ、近ごろの若手には珍しくガッツにあふれてるってな」
「ん? それ、どういう意味でしょうか?」
「褒め言葉だろう。素直に受け取っておけよ」
「はい」
「だが、これからが本番だ。お前の手並みをじっくり拝見させてもらうよ」
「はい! 精一杯頑張ります。よろしくご指導ください」

 そう言って、わたしはペコっと頭を下げた。
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