恋に異例はつきもので
「米川さん、どうしよう」
 わたしは思わず彼に泣きついていた。
「部長に、もうお前なんかこの部に必要ない、顔も見たくないって言われたら」
「そんなことないと思うけど……ちょっとレストスペースに行こうか」
 米川さんはそう言って、席を立った。

***

「うーん、部長は仕事に関してはシビアだけど、自分を立てないとか、慣例を守らないとか、そんなことで腹を立てたりする人じゃないよ」
「でも……目も合わせてくれないんです、あれ以来」
「そっか……だけど、部長も君になんでそんなこと言ったんだろう?」

 米川さんはちょっと考えてから言った。
「今日、時間ある?」
「仕事が引けた後っていうことですか?」
「うん。部長誘って3人で飲みに行くっていうのはどう? コミュニケーション不足って気がするな。一度、じっくり話したほうがいいんじゃない?」
「そうですね……」
 じゃあ、店はぼくが予約しておくよと言って、米川さんはぽんとわたしの肩を叩いた。
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