恋に異例はつきもので
 待ち合わせのターミナル駅の改札前に着くと、カーキのサファリ風ジャケットにベージュの薄手のセーターを着た休日仕様の部長がわたしに気づいて、片手を上げた。

 周りの人よりひときわ背が高く、彫りの深い顔立ちが遠目にも目立つ。
 こうして客観的に眺めると、本当に男前だ。部長って。

 日曜で好天。駅は人でごった返している。
 なので、すぐそばに行くまで、わたしの位置からは、部長の上半身しか見えていなかった。

「どうしたんですか? 部長。さっきの電話、よく聞こえなくて……」

 そう言いながら、ふと足元に視線を移すと……
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