恋に異例はつきもので
 香穂ちゃんには、2歳になる明(はる)くんという弟がいるそうだ。

 1ヶ月前から、香穂ちゃん、明くん、お母さん、そして部長の4人で『キンダーラント』に行く約束をしていたそうだ。

 でも今朝になって、明くんが急に熱を出してしまった。
 それでキャンセルしようとしたけれど、前々から楽しみにしていた香穂ちゃんはどうしても収まらない。

 「彰ちゃんとふたりでもいいから行く」とゴネまくり、結局押し切られたそうだ。

 でも今度は小学生の女の子とふたりきりという状況に、部長が不安を覚えたらしい。
 そこでわたしが呼ばれるはめになったという訳。

「ねえ、早く行こうよぉ」
 香穂ちゃんは焦れて、部長の手を引っぱりはじめた。
 わたしは一歩遅れて、ふたりの後をついていった。
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