恋に異例はつきもので
 玩具店にはありとあらゆるおもちゃがあふれている。
 最近の流行は電子機器を用いたもので値段も高い。
 下手すると、スマホやタブレット並みの金額だ。

 でも、いまさら、こうした市場に参入するのはあんまり意味がないだろうな。
 第一、目下懸案のプラモデルともつながらない。

 それから都内の目ぼしい店を2時間ほどまわった。
 たいした収穫も得られず、歩きつかれたわたしは、通りがかりの公園のベンチで休憩を取ることにした。

 ペットボトルのウーロン茶を飲みながら、ぼんやりと周囲を眺める。

 今、時間は3時過ぎ。小学生の下校時刻なのだろう。ランドセル姿の子供たちがわいわいとにぎやかに通りすぎてゆく。

 公園には、犬の散歩の人も大勢いた。
「可愛いー!!!」
 女の子たちの集団がこげ茶色のトイプードルに駆け寄っていく。
 小さな犬の周りにしゃがみこんで、そっと背中を撫でたり、頭を撫でたり。

 その子たちの表情はきらきら輝いていた。
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