恋に異例はつきもので
***

「クリアしなければならないことは山ほどあるが、やってみる価値ありだな。その線で進めてみてくれ」
 やったー!
「では、もう少しアイデアを整理して、文書化してみます」
「よし。期限は来週の月曜。それまでにまとめてみろ。俺もできるだけ協力する」
「はい!!!」

 よっしゃー、頑張るぞ。

 とにかく調べることが多くて、わたしは連日、夜中近くまで会社に残って企画書づくりに精を出した。

 そしてその間、部長も一緒に遅くまで居残ってくれた。
 疑問点をすぐに相談できるという実質的な利点もあったけれど、なにより、部長が一緒にいてくれていることの安心感はとてつもなく大きかった。

 ふとパソコンから目を離し、彼の席に目をやる。
 すると、机に脚を投げ出し、腕を組んで目をつむって考え事をしている部長がいる。
 そのことが自然とわたしの心を浮き立たせた。
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