【完結】復讐の恋〜あなたに復讐するために結婚します〜


 結婚するまでの間、わたしは和人と夫婦になるために同棲を始めた。和人からの提案だった。
 和人と同棲なんて、本当は死んでもイヤだけど、結婚するのだから当たり前だ。もちろん、自然なことだと分かっている。

 だけどわたしは、和人に復讐する。そのためにわたしは、和人の妻になるの。
 結婚して少しずつ、姉のことを思い出させてやるの。殺した女を思い出させて、地獄の底まで深く味あわせてやるの。……地獄に落ちるのがどういうことか。

「百合音、こっち来て」

「何?」

 和人に後ろから抱き着かれ、わたしは嫌気が差した。だけど我慢するんだ。
 これも姉のため、復讐のため。だからそのためには、自分の体を犠牲にすることさえ厭わない。

「百合音っ……」

 ベッドにそのまま押し倒され、深く口付けを交わされる。 和人とのキスにはなにも感じない。
 だけど夫婦になるのだから、こうした夜の営みは当たり前のことだ。 世間で言う新婚なのだから。

 新婚なのに営みがないのは、逆に怪しまれるし、疑われる。だから夜の営みくらい、なんてことない。
 だってこれは儀式だから。
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