【完結】復讐の恋〜あなたに復讐するために結婚します〜

「……百合音、ここって」

　この場所にきて、和人はそこで言葉を話すのを辞めた。
　きっと思い出したのだろう。……姉のことを。

「ここはね、わたしの姉が亡くなった場所なの」

　そしてわたしは、屋上の手すりに掴まりそう言葉を返して和人に視線を向けた。

「……お姉さんが、ここで？」

　その言葉は、信じがたいものだった。アイツ自身がここで姉を殺したくせに、しらばっくれるつもりなんだ……。
　そんなのは絶対に許さない。……絶対に。

「そうよ。……10年前わたしの姉は、ここから飛び降りて死んだの」

　皮肉を込めて言ってあげるわ。あなたのことを許せないってね……。

「……飛び降りて、死んだ？」

「そう。……姉が亡くなった時、ここにあったみたいなの。姉の書いた遺書が」

　そしてその遺書に書かれていた内容はーーー

「それって……自殺ってことか？」

「一般的にはそう言うね。……でも姉は、自殺なんてするような人じゃなかった。だからおかしいと思ったの。……その時わたしの中に、ある一つの答えが導き出されたの」

「……ある一つの、答え？」