【完結】復讐の恋〜あなたに復讐するために結婚します〜


「……俺は今日、百合音への愛をここで誓う。だけどこうなってしまったことは、本当に申し訳ないと思ってる。君の人生を壊したのは、俺だから」

 結婚式のちょっと前、和人からそう告げられたわたしは何も答えることが出来なかった。
 ただ無言で、和人の目を見つめることしか出来なかった。

 だけどその言葉でわたしは、悟った。……この復讐に終わりを告げるのは、わたしではなくて和人自身なんだと。
 その終わりを、自らの手で施すことを……。

「……和人」

 結婚式が始まると、和人のその表情は幸せと呼ぶには遠い表情をしていた。
 この結婚式が幸せになるためのものではないことを知っているからこその、表情だと思った。

 本当なら幸せになることを誓うための結婚式なのに……。
 わたしたちがそのために結婚するものではないことを知った今、幸せになることを望んでもいなかった。
 
「……百合音」

 わたしの名前を呼び微笑む和人。だけど目の奥は笑ってなんてなかった。
 むしろ悲しそうな顔でわたしを見ていた。そして誰にも聞こえないように、口パクで「ごめん……」とだけ呟いていた。
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