愛されたい少女
「危ない」

飛び降りようとすると強い力で引っ張られる

「なにやってんの?」

「旅立とうと思って」

「何でそんな事するんだよ。みんな悲しむだろ」

「私には、悲しんでくれる人なんていません」

「いるでしょ。」

「いません」

「いる。僕が悲しむ」

「見ず知らずの人の死に悲しむ必要ないですよ」

「今、君が死のうとした現場に僕が鉢合わせたつまり、君と僕は見ず知らずの人じゃない」

「早く、うちに帰りなよ。お家の人がが待ってるよ」

「私には、帰る家なんて」

「いえ、なんでも何でもないです。そうします」

「わかった、今日から一緒に暮らそう」

「帰る家がないんでしょ。それにちゃんと見張っとかないと次いつ死のうとするか分からないから」

「えっ、なんでそんな優しくしてくれるんですか?」

「僕と君は、きっと運命だから」

「僕は、君だけを愛する。一緒に帰ろう」

もし、この手を取ってしまったらきっと手放された時にもう死以外の選択肢が無くなるけどこの言葉を私は信じたい


目の前に差し出された手を取って私は、言う

「私を愛してください」
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